外資系出身マーケターの仕事の現場

外資系と日系、両方の就労経験から肌で感じた各々の違いを書いていきます。それと現在の仕事について。あと、いまの上司がクソなので、クソ上司エピソードも紹介します。

ZOZOがとったら怖い戦略

実は私はまだZOZOTOWNセレクトショップが参入し始めたばかりの頃からのユーザーです。なので愛着もあり好きな企業のひとつです。

 

当時はトップ画面にはショップの絵が載っていましたね。

今はどこのECサイトも、ほぼTOP画は存在しなくなり、パーソナライズコンテンツで埋め尽くされています。

ちなみに、昔のwebサイトを確認したいと思ったら、

Wayback Machine

というサイトでURLを入力することで見ることができます。webマーケティングをしていてこのサイトをご存知ない方がいれば、ぜひチェックしてみてください。

 

話を本題も戻して、今回はZOZOが仮にとったら怖いだろうなという戦略について考えてみました。

これはビジネス・マーケティング的なフレームワークを使ったものではなく、あくまでアパレル業界としての視点です。

 

バイヤーを自社で抱える

オリジナル商品を展開し始めたとはいえ、ZOZOは小売業であり、各ブランドやショップに場を提供しているに過ぎません。しかし、いまやZOZOTOWNという売り場は日本で一番品揃えの豊富なアパレルショップなのです。

そのショップを場貸しのままで良いと思っているわけがありません。だから自社製品を作り始めたのであり、更に手数を考えているはずです。

その一手として、ZOZOがバイヤーを抱えて海外からインポート品を独占販売し始めたらどうなるでしょうか?

これまではセレクトショップのバイヤーが買い付けていましたが、ZOZOがスケールメリットを活かして海外ブランドを独占展開したら、たちまちそれはセレクトショップの競合になるわけです。

 

有名なところでいうと、サザビーリーグが2015年にカナダグースの独占販売権を獲得しました。それまでは各ショップのバイヤーが買い付けていたのが、サザビーがPRから販売までを一元管理することでブランドイメージを守りつつ販売を拡大してきました。

 

もしこれと同じことをZOZOが始めたら、セレクトショップとしては脅威であり、他のブランドを買い付ける以外に対抗戦略を組み立てることができません。

なにせZOZOはいまオリジナルブランドの展開に合わせて認知拡大を目指してます。認知が拡大した先に、ブランド力のある他社製品を仕入れることができれば、低いリスクで買い付けることができます。

 

ECという広大なフィールドで、自社ブランドだけではなくてセレクト品も取り扱うようになったら、それはもう日本一のセレクトショップになれるわけです。

これはどのセレクトショップでも絶対に追随できない戦略となります。 

 

実店舗を展開する

これは実現は簡単ですが競合へのインパクトは弱い戦略です。

自社製品が今後増えたタイミングで、POP-UP-SHOPのような形でに出店はある得るかもしれないですね。ですが期間にかかわらず、主な目的は認知拡大にとどまり、採算がとれるようにはならないでしょう。それでもZOZOが出店をしたらニュースなど様々なメディアで取り上げられることは間違いなく。話題性は抜群です。

また、現時点でZOZOのオリジナル製品は幅広いサイズ展開が売りです。それを実店舗で体験できるような形をとるとすると、ストックヤードと売り場だけでかなりのスペースをとってしまうので、採寸を体験できるに止めることで駅ナカなど狭小店舗でも出店は可能になります。

 

 

いずれにせよ、日本でよりいまのビジネスを拡大しようと思ったら、上流から展開するしかないわけです。

となると自社製品の拡販と同時にオリジナル以外のセレクト品を取り扱いを開始することで、今まで以上に川上からビジネスを展開することが可能になります。

個人的にはオリジナル製品を開発〜販売するより、セレクトしたほうがリスクも少なくていいと思いますが。。。

ZOZOスーツに物申す

まずZOZOスーツがクソ

ZOZOスーツは結構画期的だしデータを収集するという意味ではかなり意義があると思います。

特に、ヘルスケア企業とのアライアンスを組む際に、ZOZOスーツというインフラとそこで収集したデータは活用しがいのありそうに感じます。あくまで企業側の目線ですね。

 

しかし、ユーザー目線で考えるとどうでしょうか?

「自分のサイズが測れる」

このことにどれだけの意味があるのか、疑問を感じます。

なぜか?

 

ZOZOスーツに意味がない理由

流行に逆行している

まず、今の流行は明らかにビッグシルエットです。おそらくあと数年はこの傾向が続きそうです。もちろん、ビッグシルエットが流行っている理由の一つに、ECサイトの普及があります。

ECサイトの普及によって、服を試着しないで買う機会が増加しました。その結果、「大は小を兼ねる」の理屈で大きな服が売りやすく、また買いやすくなります。これがビッグシルエットが流行している理由のひとつです。

ですので、もちろんZOZOスーツでジャストサイズが計測可能になった結果、このビッグシルエットの流行が終焉に向かう可能性(終わりが早まる可能性)が高くなります。しかしながら、現時点での流行から明らかに逆行しており、現時点でユーザーのニーズを掴んだ企画とは言えません。

自分のサイズくらい知っている

例えば、Gパン1本持っていれば、自分のウエストサイズってわかりますよね。

私の場合は28インチでジャスト、29インチで余裕のある履き方になります。これさえ分かっていれば、パンツを買うために計測は必要ありません。

また、TシャツにしてもSML展開で十分わかりますし、悩むことはありません。

極端に特殊な体型な方を除いては、あまりサイズを知っていることに意味がありません。

ZOZO側の判定ロジックがクソ

自分のサイズが分かったところで、そのデータを使いこなせなければ意味がありません。現時点ではまだ判定が弱いのかもしれませんが、明らかに自分のサイズにあっていない商品が届いたといった声がSNS上にもいくつも挙がっています。

いくらサイズが計測できても、ジャストの判定を誤っているうちは、使い物になりませんね。

 

 

と、ZOZOスーツそのものの意義に疑問を持っているのですが、ZOZO(スタートトゥデイ)はそこからPB商品の販売へ転換していく戦略をとっています。

小売がメーカーを始めたということですね。これは業界でも大変大きな意味を持つことですし、私自身もとても興味深くウォッチしていました。

しかし、いざ展開が開始してみると、正直かなりガッカリな商品展開からのスタートです。

 

誰が欲しいのこの商品?

例えばこの商品

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これが1200円ですよ。部屋着ですかこれ?

どこにでも売ってそうなTシャツをわざわざ1200円も出して買いますか?

私なら絶対に買いません。ユニクロでいいじゃんって思います。

(おそらくユニクロのほうが品質は高いと思います。)

 

あるいは最近発売したこの商品

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だから何ですか?

今さら、長袖のこんなオーソドックスなボーダーT買う人いるんですか?

定番すぎて購買意欲がまったくそそられません。

いくらジャストサイズだしても(それだってかなり怪しい)、着てみたいとワクワクできる服は一つもありません。

 

はっきり言って、現時点でZOZOのPBを買う人は、アーリーアダプター気取りの人か、よほど服を買いに行くのが面倒な人だけでしょう。

ZOZOは、小売としてはプロですが、服作りに関しては素人集団だと思います。

商品の企画能力が低すぎで、アウトプットが脆弱です。

 

きわめつけは、オーダースーツです。

 

オーダースーツは見るも無残な出来栄え

プレス発表の行い方は秀逸でしたね。

様々なプレスだけでなく、インフルエンサーも招待することで、切り口が増えるので様々なメディアで取り上げてもらえるだけでなく、SNS上でも話題になり一気に認知を獲得できます。現在のPR手法としては典型的ですが非常に効果的といえます。

しかし、まずそこからのスピード感が悪すぎます。

やっとこさ最近、私のSNS上のTL上にも「オーダースーツ」が届いたという投稿がちらほらと出てきました。

しかし、その内容はどれもひどいものでしたよ。笑

 

スーツって、TシャツやGパンと同じサイズ計測ではダメって知らないんでしょうか?

Tシャツとジャケットでは合わせる部位が異なるんですよ、スタートトゥデイさん!

ここでそのひどい仕上がりの画像を載せることはできないのですが、背中にシワがよってしまっていたり、ジャケットが短かったり、太ももがジャストサイズすぎたり、、、

 

こんなスーツ着てたら恥ずかしい!

そう思わざるをえないスーツでした。

 

そもそもスーツだってECで購入する必要ありますかね?

オーダーが低価格でというのは素晴らしいコンセプトですが、まずそもそもオーダーがオーダーにならない時点でクソ仕様ですし、いくら価格が安いとはいえ、スーツの価格って結局のところ生地のお金です。

つまり、ZOZOのスーツは大たいした生地を使っていないスーツということです。

日頃からちゃんとしたスーツを着ている人がみたら、生地の良し悪しってすぐにわかります。スーツに関しては安かろう悪かろうと思って間違いありません。

つまり現在のZOZOのオーダースーツは安い生地の間違ったサイジングの商品ということです。

 

ツープライススーツを凌駕できるポイントがひとつもない

もう15年くらいになりますかね。ツープライススーツが世に出てきてから、おしゃれで安いスーツがたくさん出てきました。

Y・A・ABなど体型に合わせてスーツの形も選べますし、さらにその中でウエストのサイズも選べます。タック有無だって選べます。

オプションでさらにステッチを変更したり、自分のこだわりを楽しむことだってできるようになりました。

 

これらのことがZOZOスーツでできますか?

できませんよね。サイズはあっていて当たり前なんです。そこから先、自分のこだわりを表現できるからオーダースーツは楽しいし愛着が沸くんじゃないですか。

ZOZOのオーダースーツは既製品以下のクオリティで、単なる消耗品です。

 

よのビジネスマンにそんなスーツを普及させてはダメだと思いますよ。

それこそ、服にこだわらない、消費しない、旧態依然の量産型おっさんを生みかねません。

 

でもこれからなんだよね

とはいえ、デジタルの力はすごいのも事実。おそらくここから1〜2年でぐっとアウトプットのクオリティも格段に向上してくると思います。(そうならなかったらまじで無能)

その時、流行を変える可能性だってあるし、都市部・地方問わず、日本人の美的センスを一層高められる可能性だって秘めています。

人が得る情報のうち、ノンバーバルコミュニケーションが93%を占めるというのは有名な話。そのうち、身だしなみがどれだけ占めているか、それを分かっている人はいつも身だしなみを整えていますよね。

その一助となるのか、それとも量産型に落ち着くのか、果たしてどうなるでしょうね。

(たぶんユニクロと食い合うような形になって中途半端に落ち着く)

マーケティングオートメーションを使いこなすための3つのスキル

最近ちょっと自分の担当する仕事が変わってきていて、これまでは広告出稿などがメインの仕事がったのですが、今はデータベースを活用したマーケテイングにシフトしています。

 

ざっくり言うと、データベースにあるリード情報に対して、MA(マーケティングオートメーション)を使ってCVまでの道筋を作るような感じです。

何のMAツールを使っているかは言いませんが、メジャーどころを使っています。

このMAを使いこなすためには3つのスキルが必要だと思います。

 

1.htmlやcssなどの言語

どのMAもある程度インターフェイス上でメールやLPの作成が可能な設計になっていますが、ユーザビリティを考慮したアウトプットをしようと思うと、どうしても直接コードを書かないといけない場合があります。

例えばLPは「綺麗に」「それっぽく」「本サイトと遜色ないレベル」で作らないと、安っぽく偽物っぽいページが完成してしまいます。

あるいは、フォトショップイラストレーターで画像アセットを作成し、それを当てはめていく形でも「綺麗に」は作れますが、この場合ですとPC/スマホのレスポンシブルなデザインにはなりません。どうしてもどっちかに寄せたデザインになってしまうので、一方のデバイスで閲覧した場合に見にくいページになってしまいます。

ですのでMAを使いこなすうえで、コーディングスキルは必須です。

 

2.ロジカルシンキング

MAはそれ単体がデータベースの役割を持っているものも多いと思いますが、基本的には既存のSFACRMとの連携が必須です。これら別のデータベースとデータフィールドの連携を組んだ上で使用します。この連携が意外に難しいです。

というのも、API連携を組んだ場合情報は双方向に連携されます。つまり3つのデータベースを繋いだとしたら、3つのデータベースにあるデータフィールドが同じ定義となるような連携を組まなくてはなりません。

しかしながら、当初から3つのデータベースを連携することを前提として作成していない場合も多いでしょうから、この連携は簡単にはできません。データのインプット・アウトプット、それぞれの使い方、データの流し方、関係部署との調整などをロジカル考えないと一向に進みません。

 

3.施策の有効性への嗅覚

これは担当者としての醍醐味であり、また一番プレッシャーがかかるところです。

MAは決して安い金額ではないです。課金形態にもよりますが、年間1,000万円を超える場合もあります。

この費用をかけたからには定量的な結果をやはり出さなくてはなりません。

コンテンツマーケティングへの正しい理解、カスタマージャーニーやペルソナ設定の妥当性、アウトプットのデザイン性、などセンスが問われる部分です。

上記2つのスキルに加えてセンスが備わって初めてMAの入り口から出口までを作れるという感じでしょうか。

 

ここ最近はLINEがコミュニケーションツールとしてではなく、インフラとしてサービス構築がされており、法人向けのビジネスインフラとしての機能が強まってきています。LINEでリード情報を取得してそれを SFAやMAに連携して施策をオートメーションで走らせる、という流れが今後ますます加速してきます。

 

もしこれからMAを導入しようと思っている方、あるいはMAを使った仕事をしたいと思う方は、この3つのスキルが自分にあるか、社内に揃っているかを一度考えてみましょう。