外資系出身マーケターの仕事の現場

外資系と日系、両方の就労経験から肌で感じた各々の違いを書いていきます。それと現在の仕事について。あと、いまの上司がクソなので、クソ上司エピソードも紹介します。

ZOZOスーツに物申す

まずZOZOスーツがクソ

ZOZOスーツは結構画期的だしデータを収集するという意味ではかなり意義があると思います。

特に、ヘルスケア企業とのアライアンスを組む際に、ZOZOスーツというインフラとそこで収集したデータは活用しがいのありそうに感じます。あくまで企業側の目線ですね。

 

しかし、ユーザー目線で考えるとどうでしょうか?

「自分のサイズが測れる」

このことにどれだけの意味があるのか、疑問を感じます。

なぜか?

 

ZOZOスーツに意味がない理由

流行に逆行している

まず、今の流行は明らかにビッグシルエットです。おそらくあと数年はこの傾向が続きそうです。もちろん、ビッグシルエットが流行っている理由の一つに、ECサイトの普及があります。

ECサイトの普及によって、服を試着しないで買う機会が増加しました。その結果、「大は小を兼ねる」の理屈で大きな服が売りやすく、また買いやすくなります。これがビッグシルエットが流行している理由のひとつです。

ですので、もちろんZOZOスーツでジャストサイズが計測可能になった結果、このビッグシルエットの流行が終焉に向かう可能性(終わりが早まる可能性)が高くなります。しかしながら、現時点での流行から明らかに逆行しており、現時点でユーザーのニーズを掴んだ企画とは言えません。

自分のサイズくらい知っている

例えば、Gパン1本持っていれば、自分のウエストサイズってわかりますよね。

私の場合は28インチでジャスト、29インチで余裕のある履き方になります。これさえ分かっていれば、パンツを買うために計測は必要ありません。

また、TシャツにしてもSML展開で十分わかりますし、悩むことはありません。

極端に特殊な体型な方を除いては、あまりサイズを知っていることに意味がありません。

ZOZO側の判定ロジックがクソ

自分のサイズが分かったところで、そのデータを使いこなせなければ意味がありません。現時点ではまだ判定が弱いのかもしれませんが、明らかに自分のサイズにあっていない商品が届いたといった声がSNS上にもいくつも挙がっています。

いくらサイズが計測できても、ジャストの判定を誤っているうちは、使い物になりませんね。

 

 

と、ZOZOスーツそのものの意義に疑問を持っているのですが、ZOZO(スタートトゥデイ)はそこからPB商品の販売へ転換していく戦略をとっています。

小売がメーカーを始めたということですね。これは業界でも大変大きな意味を持つことですし、私自身もとても興味深くウォッチしていました。

しかし、いざ展開が開始してみると、正直かなりガッカリな商品展開からのスタートです。

 

誰が欲しいのこの商品?

例えばこの商品

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これが1200円ですよ。部屋着ですかこれ?

どこにでも売ってそうなTシャツをわざわざ1200円も出して買いますか?

私なら絶対に買いません。ユニクロでいいじゃんって思います。

(おそらくユニクロのほうが品質は高いと思います。)

 

あるいは最近発売したこの商品

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だから何ですか?

今さら、長袖のこんなオーソドックスなボーダーT買う人いるんですか?

定番すぎて購買意欲がまったくそそられません。

いくらジャストサイズだしても(それだってかなり怪しい)、着てみたいとワクワクできる服は一つもありません。

 

はっきり言って、現時点でZOZOのPBを買う人は、アーリーアダプター気取りの人か、よほど服を買いに行くのが面倒な人だけでしょう。

ZOZOは、小売としてはプロですが、服作りに関しては素人集団だと思います。

商品の企画能力が低すぎで、アウトプットが脆弱です。

 

きわめつけは、オーダースーツです。

 

オーダースーツは見るも無残な出来栄え

プレス発表の行い方は秀逸でしたね。

様々なプレスだけでなく、インフルエンサーも招待することで、切り口が増えるので様々なメディアで取り上げてもらえるだけでなく、SNS上でも話題になり一気に認知を獲得できます。現在のPR手法としては典型的ですが非常に効果的といえます。

しかし、まずそこからのスピード感が悪すぎます。

やっとこさ最近、私のSNS上のTL上にも「オーダースーツ」が届いたという投稿がちらほらと出てきました。

しかし、その内容はどれもひどいものでしたよ。笑

 

スーツって、TシャツやGパンと同じサイズ計測ではダメって知らないんでしょうか?

Tシャツとジャケットでは合わせる部位が異なるんですよ、スタートトゥデイさん!

ここでそのひどい仕上がりの画像を載せることはできないのですが、背中にシワがよってしまっていたり、ジャケットが短かったり、太ももがジャストサイズすぎたり、、、

 

こんなスーツ着てたら恥ずかしい!

そう思わざるをえないスーツでした。

 

そもそもスーツだってECで購入する必要ありますかね?

オーダーが低価格でというのは素晴らしいコンセプトですが、まずそもそもオーダーがオーダーにならない時点でクソ仕様ですし、いくら価格が安いとはいえ、スーツの価格って結局のところ生地のお金です。

つまり、ZOZOのスーツは大たいした生地を使っていないスーツということです。

日頃からちゃんとしたスーツを着ている人がみたら、生地の良し悪しってすぐにわかります。スーツに関しては安かろう悪かろうと思って間違いありません。

つまり現在のZOZOのオーダースーツは安い生地の間違ったサイジングの商品ということです。

 

ツープライススーツを凌駕できるポイントがひとつもない

もう15年くらいになりますかね。ツープライススーツが世に出てきてから、おしゃれで安いスーツがたくさん出てきました。

Y・A・ABなど体型に合わせてスーツの形も選べますし、さらにその中でウエストのサイズも選べます。タック有無だって選べます。

オプションでさらにステッチを変更したり、自分のこだわりを楽しむことだってできるようになりました。

 

これらのことがZOZOスーツでできますか?

できませんよね。サイズはあっていて当たり前なんです。そこから先、自分のこだわりを表現できるからオーダースーツは楽しいし愛着が沸くんじゃないですか。

ZOZOのオーダースーツは既製品以下のクオリティで、単なる消耗品です。

 

よのビジネスマンにそんなスーツを普及させてはダメだと思いますよ。

それこそ、服にこだわらない、消費しない、旧態依然の量産型おっさんを生みかねません。

 

でもこれからなんだよね

とはいえ、デジタルの力はすごいのも事実。おそらくここから1〜2年でぐっとアウトプットのクオリティも格段に向上してくると思います。(そうならなかったらまじで無能)

その時、流行を変える可能性だってあるし、都市部・地方問わず、日本人の美的センスを一層高められる可能性だって秘めています。

人が得る情報のうち、ノンバーバルコミュニケーションが93%を占めるというのは有名な話。そのうち、身だしなみがどれだけ占めているか、それを分かっている人はいつも身だしなみを整えていますよね。

その一助となるのか、それとも量産型に落ち着くのか、果たしてどうなるでしょうね。

(たぶんユニクロと食い合うような形になって中途半端に落ち着く)